武漢についた翌日から出店予定地を探して回ることにした。
中国湖北省の省都である武漢市、実に800万人以上もの人々が
暮らしている大都市なのです。武漢市の中心部は主に3つの区域に
別れていて長江の北側に位置する「漢口」、支流に挟まれ西部に位置する
「漢陽」、長江の南側の「武昌」です。
「漢口」は多くの商業施設や繁華街が集っている
「漢陽」は大手自動車メーカーの工場や外国企業などが多い
「武昌」は大学が多く、中国のなかでも優秀な人材を集めているとか。
出店予定地を探す際、あまりにも広大なので「漢口」と「武昌」の
2つの区域で探すことに。。。
新聞の貸店舗募集の記事をもとに、電話を掛け面積と価格(経営権譲渡金
及び家賃)を聞き、良さそうな物件は現地まで足を運び、直接内部を視察する
前にも書いたが、大家さんとの交渉の前に現在の経営者と経営権譲渡の
金額の交渉をしなければならず、かなりめんどくさい作業。
多くの場合、まだ営業中で、店舗だけでなく設備までいっしょに売ろうとする
経営者が多い。
ケーキ屋を作る際、衛生許可が下りやすいこともあって、飲食店を中心に
探して回ったが、どこの店も油にまみれて、使いようのないイスやテーブル
をコミコミで値段をふっかけてくる。
はっきりいって飲食店だったところを譲ってもらっても全部壊して新しい
内装を施すほかはない。話し合った結果、前が飲食店でなくても、ほとんど
なにもないようなところを探そうということになった。
「がらんどう」なほうが一度壊す手間賃が節約できるから。。。
一週間以上成果のない日々が続き、少し落胆していたころ、
相棒H君が、友達2人がいっしょに探しにいってくれると言ってきた。
私は武漢に来たばかりで土地勘はまったくないし、H君も6年ほど
日本に留学していたせいで最近の武漢についてはあまり知らない。
友人のありがたい申し出を断る理由もなかったので、同行してもらう
ことにした。その日は「武昌」を中心に見て回ることにしてバスに
乗った(どこまでいっても2元)。華中師範大学の南門近くに、新聞広告
に出している店があって、まずはそこへ。。。
大学の門前だけあって学生を中心に人の流動は激しい。
しかし広告の店の壁にはアルファベットと数字を組み合わせた
なにやら怪しい印が書いてあって、近くにある別の店で何の意味
の記号なのかと尋ねると、近く政府の開発計画によって壊される予定
とのこと。。。
あぶないあぶない。。好立地の割に条件がよすぎるからクサイとは思って
いたけど、案の定だった。。
せっかくこの辺りまで来たからと、近くの食堂で食事をして大学の敷地内
を散策してみる。 南門から入ってかなりの距離を歩いて西門付近まで
来たところでひとつ空き店舗をみつけ、張り紙にあった電話番号へ連絡
をしてみると、おもいがけずかなりのいい条件!
内装もほとんど施さなくていいほどきれいな状態で、ここならばと
みんな興奮ぎみ。。前の経営者が現地まで来てくれて内部を確認
契約金の交渉までいっきに話がまとまった。店舗選びは慎重にと
思っていたが、即決してしまうほどの好条件の物件だった。
詳しいことはまた明日連絡すると、携帯の番号を教えて帰ることに。。
ところが!ところがです!!
いっしょに物件を探しにきていたH君の友人2人もこの物件の権利が
ほしいという始末。。中国では物件自体の価値とは別に店の立地条件
によって経営権の価格が大きく異なります。
したがって、お得な物件を探し出して、権利を買い、それを適当な
価格設定にして転売すれば、おおきな利益が生まれるのです。
言葉がわからない私には、H君と二人の友人の間にどんなやりとり
があったかはわかりませんが、てっきり私の店探しを手伝ってくれて
いるとばかり思っていた私はかなり面くらいました。
結局物件は契約成立すれば私たちが使ってもいいよと話が落ち着き
ましたが、今度は前の経営者からの連絡がまったくこない。。。
こちらから電話を掛けてもつながらず、そのまま話はなかったことに。。
中国の友人関係にしろ、賃貸契約にしろ想定外のことばかりです。
異国でいろいろなことがうまくいかないもどかしさを痛感させられました。
それでもへこんでいるわけにはいかないと、翌日からもせっせと店探し
武漢にきて2週間ほどすぎたころ、ようやく店を決めることができました。
そこからは自分の住む部屋探しと契約、ネット回線の手配まで
急ピッチですすめていきました。気がつけばもう10月も終わりに
近づいていますね。
明日はケーキ作りには欠かせない素材探しに出かけるつもりです。
それではまた。。。